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夢をメモするからユメモ。秩序も筋道もないユメモ。
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ゆき
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女性
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夢をメモする習慣があると脳が活性化するというのは本当だろうか。

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※この記事には、身体障害、胎児の発育等について間違った、あるいは差別的ととれる記述があります。
閲覧は自己責任でお願いします。


【ユメモここから】

彼氏が家に来ることになった。
電車から降り、家へ向かうバスに乗ろうと歩き始めた。
大分歩いてから、バスの走るのとは全く違う道を歩いていることに気づいた。
お喋りしながら歩いていたので、そちらに集中しすぎてしまったらしい。
私は、道を間違えたことを彼氏に告げた。
「えっ、そうなの!?」
と、彼氏が言った。
「バスに乗るって言ったのに、こんなに歩いておかしいと思わなかったの~?もう、あなたの責任もあるんだからね」
と、私は笑って言った。
その頃には、バスの走る道と合流しており、バス停が見えた。
「バス乗ろう」
と言い、私たちはバス停で少し待った。
しかしもう家のわりと近くまで来てしまっていた。
バスに乗っても2~3区間といったところである。
ここまで歩いて来たのなら、そのくらいはまた歩いてもさして変わらないように思えた。
「もう家まで歩いちゃう?」
と私が彼氏に言うと、
「どっちでもいいよ」
と言われたので、歩いて帰った。

家では、母と姉と一緒に夕食をとった。
雑炊だった。
父はまだ仕事から帰っていなかった。
姉のお腹は大きかった。
姉は、彼氏のことが気に入らないようで、始終喧嘩腰だった。
「なんでご飯なんか食べさせるの!?」
と、姉が母に言った。
母は、あまり相手にしなかった。
私は、彼氏に嫌な思いをさせているだろうと、申し訳なかった。
「私だって滅多に食べられないのに!」
と、姉は言った。
姉はもう結婚して家を出て、生計を別にしているのだから、自分の状況と実家にいる私や、私の連れて来た客を比べるのはおかしいと、私は思った。
母が、
「明日向こうのお父さんとお母さんが来れば、3人分増えるんだよ」
と、姉に言った。
明日は姉の夫と、その両親が来るらしい。
姉はそう言われて、食事のことには触れるのをやめた。

それでも姉は、何かと言いがかりをつけてきた。
顔が気に入らないだとか、そういう幼稚なことだったような気がする。
私は時々、
「ごめんね」
と、小声で彼氏に謝った。
私が姉に何かを言い返せば、空気はいっそう悪くなり、彼氏の居心地が悪くなると思ったので、相手にせず黙っていた。
そのうちに彼氏が、我慢の限界に達したらしく、口を開いた。
「俺はハッキリ言って今かなり怒ってるよ」
彼氏は表情を変えずに煙草を吸いながら言った。
声が怒っていた。
本気だ、と私は思った。
黙っているのもおかしな気がするし、かと言って私が何か言えば、火に油を注いでしまう気がした。
そんな私の心中を察してか、彼氏が小声で、
「ゆきは向こう行ってていいよ」
と言った。
私は彼氏の言う通りにするのが、彼の「戦い」の邪魔にならない一番の方法だと思ったので、椅子にかけたまま眠った。
正確には、眠ったふりをした。

姉は、彼氏に怒っていると言われたことに対して、
「嘘だね!本当に怒ってれば顔が変わるはずだもん」
と言っていた。
「明日南に行かなかったら、俺は殺しに行ってるかもしれない」
と、彼氏が言った。
「明日はここより南の方に用事があるからこっちには来ないけど」
物騒な話になってきている。
しかし彼ならやりかねないという気もした。
彼は、自分を悪く言われたことに対してというよりも、私が自分を責めるような気持ちになってしまっていることに、腹を立てているような気がした。
「ウチの人は悪魔のようだから、来たければ来れば?」
と、姉が挑発的に言った。
確かに姉の夫は普段からスポーツをしており、筋肉だらけなので、力が強そうである。
そして姉の言う通り、妻を守るためならばその力を惜しみなく使うだろう。
しかし、私の彼氏はやろうと思えば本当にやる人だということもわかっていた。
足りない部分があるならば、彼は戦略でそれを補うだろう。
彼にとって、どうでもいいと判断した人は本当にどうでもよく、それよりも大切な人が苦しんでいることの方が大事なのである。
「俺はゆきと結婚しても、あんたを義姉さんとは思えない」
と、彼氏が言うと、
「こっちだってあんたを義弟だなんて思わないから!」
と、姉が返した。

ふいに、
「どうでもいいけど、煙草やめてもらえます?」
と、姉が言った。
彼氏は黙って煙草を消した。
口に残っていた分の煙は、横を向いて吐きだした。
「そうやって横を向いて吐いたって、意味ないんだから!この子が奇形児になったらあんたのせいだからね!下半身がない子だったらどうするの!?足の動かない子だったらどうするの!?そうなったら、その障害はあんたのせいだって子供に教えてやる!!」
と、姉が言った。
「どうぞ、本当に俺のせいならね」
と、彼氏はさして気にしない風に言った。
「動かなくても足があれば、そんなに重い障害ということにはならない。上半身のみの状態なら、国の補助が認められるだろうけど。国の決まりでそういうことになってる」
と、彼氏が言うと母も、
「国ではそうだよ」
と言った。
姉は、母にまでそう言われて、悔しそうだった。
私は、この二人が口で戦うには、力の差がありすぎると思った。
「あんたとゆきは大違いだね。ゆきは知らないことも多いし、おかしなことをすることもあるけど、ちゃんと教えたり叱ったりすれば、『ありがとう』って言える」
と彼氏が言った。

私は眠ったふりを続けるのに耐えられなくなって、瞼を開けると、
「もうあっち行こう」
と、彼氏を食堂から連れだした。
他に行く部屋が見つからず、私たちは茶の間に落ち着いた。
そこへ父が帰宅して、笑顔で挨拶をした。
彼氏も挨拶をした。
しかし、最後までゆっくりし終わらないうちに、
「あっ、俺ちょっと先にトイレ行って来るから待ってて」
と言って、父はトイレへ向かってしまった。

父のいなくなった茶の間へ姉が来て、また喧嘩を仕掛けた。
また始まってしまった。
私ももう我慢ができなかったので、参戦した。
「何でさっきから彼にそんな風に言うの!?」
と、私は言った。
姉は、
「あんたはわかんないの!」
と、私に言った。
「何がわかんないの?」
と私が静かに尋ねると、姉は以前働いていた職場のことを話し始めた。
「私、N市の病院で働いてた」
私は、そのことを知っていたので、
「うん」
とだけ言った。
「付き合ってた」
と、姉が言った。
職場に付き合っていた人がいたらしい。
しかしその人は精神を酷く病んでおり、姉はかなり悩まされ、振り回された。
私の彼氏も同じことをするだろうと、姉は考えているようだった。
しかし精神疾患を抱えているのは彼氏でなく私の方であり、それは姉も知っているはずである。
どれほど酷いものかと、姉は私を説得するように、次々と具体的な経験を挙げて話した。
私は、特に驚きもせず、相槌を打っていた。
精神を病んだ人ならば、どんな行動をしようとも、私にとっては、驚くに値しなかった。
一見無意味で狂っているように見える行動にも、その人にとっては理由や原因があるのを知っていた。
ただ、それが常識の枠からはみだしてしまうので、他の人からは、狂気のように見えるだけの話である。
本人にとっては、それは叫びであったり悲鳴であったり、まあ色々だろう。
「死んだ人の目を、手で取って投げつけてきたりするんだから!」
と、姉が、さすがにこれは理解できまい、といった具合に言った。
私はやはり、特に驚かなかった。
「私だってそういうことをするかも」
と、私は言った。
私にも、他の人には理解できないような行動をすることは多くあるし、自分の理性で抑えられないこともある。
コントロールできない感情が暴走し、自分が何をしているのかわからなくなってしまうこともあるだろう。
精神を病むということは、そういうことだと思うから、私は姉の言うこと一つ一つに、
「私もするかも」
と言った。

姉は、最後には座って頭を下げて、茶の間から出て行った。
姉にしてみれば、精神疾患があると言っても、自分の妹は違う、という気持ちがあったのだろう。
妹には「普通」の感覚があると、暴走して我を忘れることはないと思っていたのだろう。
しかし全くの他人である私の彼氏のことは信用できず、妹に苦労をさせたくない思いで、あのような酷い振る舞いをしたのだった。
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