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夢をメモするからユメモ。秩序も筋道もないユメモ。
プロフィール
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ゆき
HP:
性別:
女性
自己紹介:
夢をメモする習慣があると脳が活性化するというのは本当だろうか。

前略プロフ
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小学校の事務で働いていた。
季節は夏で、五分丈の紫がかったピンクのブラウスを着ていた。
 
私は、ある男の職員と少し親しかった。
彼は年上で、私は若く、かわいがってからかったり面倒を見てくれるといった感じの関係だった。
恋愛感情は、ない。

彼はスポーツ用品店と銘打った、趣味の店を経営していた。
床も壁も白い。ロゴにだけ、青を使われていた。青地に白のロゴだ。
常連のお客さん(友達のようだ)が彼に頼みごとをしに来たり、布団のない台の上で横になって休憩して行った。
アットホームで、店というより溜り場のようだった。
彼はその店に、自分の場所を持っていた。
誰でも入ることはできるが。
そこは彼の趣味のスペース。
顕微鏡、モニター、よくわからない器具の数々が乱雑に置いてあった。

モニターの前には、いつも何かの内臓が置かれていた。
ある時私は、それを脳だと思ったが、別の時には潰れた眼球(イカをさばくとゴミとして出るような)が置いてあったので、目の周辺のモノなのだろうと思った。
気持ち悪くはなかった。

「大学の後輩が、解剖するたびに送りつけてきやがる」
と彼は言ったが、彼自身もそれを楽しんでいるように見えた。
「先輩、見てくださいよ。今度のは……」
モニターから、後輩の喜々とした声と解剖の様子が流れていた。
彼は、自分が何かの(多分生物学的な)研究の前線にいない代わりに、後輩のそれを楽しんでいるようだった。

ある天気の良い日の授業中、古い木造の校舎に大荷物の女性がやって来た(姿形は常盤貴子)。
私はそこをちょうど通りかかり、見慣れぬ人物に首を傾げた。
彼女は新しい教員らしかった。
「古い学校と聞いていたけど、こんなに若い人もいるんですね。大分年上の先生ばかりと思っていたから、安心しました」
と、彼女は笑った。
彼女の顔は、教師という仕事への希望に満ちていた。
私は談笑しながら、内心彼女の希望が砕ける日は遠くない、と思った。
この学校は、児童にとってはかなり過酷な、詰め込み式授業が行われる所だ。
児童の学力は確かに伸びるが、他の学校に比べれば児童と触れ合うような時間は少ないだろう。
いわゆる「優等生」の寄せ集めなのである。

私が彼女に担当教科を尋ねると、
「大学では○○と○○を学びました。専攻は美術です」
と答えが返って来た。
なるほどあの大荷物は、画材道具というわけか、と思った。

彼女と話していると、教室から、
「先生、うるさーい」
という声が飛んできた。
それで私は、今が授業中だったと思い出して、彼女と二人、悪戯な眼差しを交すようにして、口をつぐんだ。

そこへスポーツ用品店経営の彼がやって来て、
「来ていたのか。こっちだ、ついて来い」
と、彼女を連れて廊下の向こうへ消えてしまった。
彼女は彼の、部下になるのだろう。
彼女も彼も大学を出た教員で、私はしがない事務員。
同じ学校にいるように見えて、実は別の世界に過ごす二人なのだと、思い出して少し寂しかった。

教室では、私達のお喋りにより集中力を失った子供が、騒いでいた。
席を離れてしまった子供もいる。
授業をしていた白髪に白髭の先生は、優しく「おいでなさい」の意思を私に向けた。
私はそれに従い、教室の入り口付近に立って少し中を見渡すと、子供達に大きめの声をかけた。
「みんな、集中したり一生懸命に何かをしている時に、邪魔をされたらどう思う?」
子供達は口々に、
「やだー」
「やめてほしい」
と答えた。
「そうだよね。じゃあ席から離れた子は戻って、お喋りしている子は、やめようね」
そして最後に、
「みんなの邪魔をしてごめんなさい」
と、私は頭を下げた。
それで、授業を邪魔した私の償いは終わったようだった。

その後、私とあの彼女ともう一人が、先程の白髪の先生に呼ばれて、勤務の担当の話をされた。
その話をする私達の向こうでは、日差しの差し込む教室で、子供達が遊んでいる。
私は、セクハラの噂のある、ある男性職員とだけは一緒になりたくないと思った。
しかしその人物は、異動して既に別の学校へいるらしく、私は胸を撫で下ろした。
彼女の上司となった人物の名を聞いて、もう一人の職員が声を上げた。
「彼女を彼の下につけるんですか!?」
新米教師の上司としてつけるには、不安を感じさせる人物だったのだろう。
しかし白髪の彼は、それを覆す気はないようだった。
彼女の上司は、一見変わり者だが、やるときはやる人物、一番年長らしいその白髪の彼は、それをわかって彼女の上司に決めたのだと思った。
彼女の上司は、この学校の独特の波に揉まれて、理想とのギャップに潰れそうになった時、きっと彼女を支え、立ち上がらせるだろう。

自分の上司は、忘れた。
可もなく不可もなく、といった感じの人物だったのだろう。
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