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夢をメモするからユメモ。秩序も筋道もないユメモ。
プロフィール
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ゆき
HP:
性別:
女性
自己紹介:
夢をメモする習慣があると脳が活性化するというのは本当だろうか。

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ある大きな組織に属していた。
組織には彼氏もいた。

彼氏とよくつるんでいる二人がいた。
私たちは、組織とは無関係の個人的な意味で、仲間ということになっていた。
しかし二人は、彼氏のことを内心良く思っていなかった。
「大した実力もないくせに、上からチヤホヤされて調子に乗っている」
「自分たちと力はさして変わらないくせに、偉そうな態度がカンに障る」
というのが二人の言い分だった。
二人は、彼氏を陥れようと企んでいた。
「アイツに自分の本当の実力を思い知らせてやる」
私は、彼らの協力者を装った。
彼らは彼氏に無理矢理ハンデを課して、勝利を得ようとしていた。
しかし私は二人の汚い計画を、全て彼氏に伝えたので、企みは筒抜けだった。
やがて二人の計画が実行される日が来た。
私が事前に情報を流していたので、彼氏は罠にはまることはなく、ほぼハンデ無しの状態で二人に勝利した。
彼氏の実力を思い知ったのは、二人の方であった。
圧倒的であった。
「やっぱりお前には敵わないな」
二人は、彼氏と大体同じレベルのつもりだったが、そうではなく、彼氏が上から買われることにも納得したようだった。
私が情報を流していたことは、あまり責められなかった。
ハンデ無しで勝負し、力の差を知れたことは、彼らにとって、むしろ清々しいものだったのかもしれない。
ただ、建物から出るために4人でぞろぞろと、薄暗く人気のない階段を下りている時に、
「あーあ、ゆきには裏切られたな」
と、笑って言われた。
この建物は、二人が彼氏を陥れるために呼び出しただけの場所である。

こうした騙し打ちを仕掛けられたにも関わらず、彼氏は以前と同じように二人と接し、また二人も同様だった。
なので私もそうした。
二人の妬む心が消えた分、以前に比べて仲間としての繋がりが強くなったような気がした。

後日、4人で出かけることになった。
しかし私は時間に間に合わず、支度もそこそこに集合場所の駅へ向かった。
この駅は特殊で、電車に乗るのに少し技量が要った。
電車も普通の電車ではなく、遊園地のコースター、あるいはミニSLのように、天井がなく座席が二つずつ並んでいる乗り物だった。
乗り物とホームの間には深くて真っ暗な穴があり、足一つ分ほどの幅の細い石が浮かんでいた。
直方体のその石は、足を一歩踏むほどの面積しかなかった。
しかもブルブルと振動している。
石はある一定の周期で、振動と静止を繰り返していた。
ある石が静止した瞬間、彼氏がそれに足を乗せ、踏み台のようにして上手く乗り物に乗り込んだ。
踏まれた石は、穴の中へ落ちて行った。
一度使われた石は、他の者が使うことはできないのである。
座席は二人分並んでいるので、石も二つあったはずだが、彼氏が一つ落としたので私の使う分の石はポツンと浮かぶ形になり、余計に面積が狭いように感じた。
仲間の一人も、慣れた様子で乗り込んだ。
私が石の振動の周期を計りかねたり、躊躇しているうちに、乗り物は発車してしまった。
やはり同様に乗り物に乗らなかった仲間が、
「またすぐ次のが来るから大丈夫だよ」
と言った。
彼は私のように全く初めてというわけでもないが、あの石を踏んで跳ぶことが苦手ではあるようだった。
15分くらいで次が来るということなので、
「あっ、じゃあ私出るとき出来なかったから、この間にバッグの中整理しちゃおうかな」
と言って、バッグの整理をした。

夕方、私たちは組織の本拠地付近にいた。
私の自宅の側だった。
私のように力の不十分な者は、ここで訓練をすることになっていた。
彼氏と仲間二人は、組織の上級職と会議をしていた。
我が家の茶の間が、会議室として使われていた。
会議は正式なものではなく、ちょっとした話し合い程度のもののようであった。

外で訓練をしていた私は、少し休憩をするために、友人と一緒に土手へ寝そべった。
休憩をしながら友人が、
「ゆきは方術はわりと使えるが、剣術が苦手のようだな」
と言った。
ふと目をやると、川を渡る高速道路の橋の先にある山に、雪が積もっていた。
「あっ、見て、山が雪かぶってるよ!」
と、私は言った。
山にはふんわりとした綿がかぶさったようになっていて、本当に「雪をかぶっている」という表現がぴったりだった。
友人もうつ伏せのまま顔を上げ、私の言った方を見た。
しばらく眺めていると、対岸にあるその山に、小さな雪だるまがあるのがわかった。
よく見ると、雪だるまだけでなくかまくらや、家の形をしたものもあった。
それらにはそれぞれロウソクが入っており、付近の住人と思われる老人が、火をつけていた。
花火のようにパチパチと火花を散らして燃えているロウソクもあった。
ポツポツとともされたロウソクの炎は夕闇に映え、幻想的だった。
友人は、
「炎で雪が溶けてしまうだろうに、バカなことをする」
と言った。
彼女は地元の人間ではないので、ロウソクの炎程度では、雪だるまやかまくらが溶けないことを知らないらしかった。
「そういう風習なんだよ」
と、私は言い、
「今日がその日だったんだ~」
と、付け加えた。

友人は話を戻し、
「剣術の稽古をつけてもらってはどうだ?」
と、中で会議に参加している上級職の人物の名を挙げた。
その人物が特に剣術に秀でているという評判は知っていた。
「ゆきさん、稽古をつけてもらいたいなら、私から話を通しましょうか?」
と、背後から声がした。
腰まではある長い綺麗な黒髪の女の子がいた。
歳の頃は18といったところ、背が高く瞳の黒い美人である。
彼女とは特別親しくはなかったが、顔は知っていた。
彼女は、今話に上っている人物を特に慕っており、よくつきまとっていた。
私が返事もしないうちに、彼女は家の中へと姿を消した。

私は彼女を追い掛けて家に入り、「会議室」へ向かった。
会議はいかにも砕けた様子で行われていた。
私はその場にいた仲間とふざけ合い、はしゃいだ。
彼氏と上級職のその人物だけは、難しい顔をしていた。
というか、この二人は大抵仏丁面なので、別に難しい顔というわけでもないのかもしれない。
どういう話の流れかは分からないが、
「裏切りプリンセスはコイツっすよ~」
と、仲間が笑いながら私を差した。
彼氏をはめようとして、失敗した時のことを言っているのだと思った。
しかしそれは嫌味な感じではなく、本当にただふざけてちょっと構っているだけので私は気にしなかった。
私は、
「私は滅多に裏切りなんてしないも~ん」
と返した。
実際私には、彼らよりも彼氏の方が大切で、あの計画のときも最初から仲間のフリをしていただけなのだから、私にとっては裏切りではなく、ただの嘘つきくらいだと思った。
そうしてじゃれ合っていると、
「ゆき、ちょっと…」
と、上級職の人物に注意された。
気づけば会議には外部の人間も参加していたようで、見知らぬ二人が部屋の隅にちょこんと座っていた。
そういえば一応会議中だった、と思い出し、
「あっ、邪魔してしまってすみません」
と言い、慌てて部屋を出た。

外へ出ようとしていると、玄関で上級職の人物に呼び止められた。
「何か話があると聞いたが」
と、彼女に言われ、黒髪のあの女の子の言葉を思い出した。
剣術指南をお願いする話である。
しかし突然話しかけられ、心の準備ができていなかった私は、言葉を選ぶ余裕もなく、早く返事をしなければ、という思いで、
「あの…剣を…教えてください…」
と、実に稚拙な話し方をしてしまった。
「あ…朝、少しの時間でいいので…」
目上の人物に対してこのような言葉づかいしかできなかったことは、とても恥ずかしく、あきれられるのではないかと思ったが、彼女は特に気にした様子もなく、
「剣術の稽古をつけるのは構わないが、方術は別の者に頼んだ方がいいぞ」
と言った。
方術はとりあえずいいんです~!と、心の中で断りを入れつつ、あまり彼女の手を煩わせすぎるのも申し訳ないと思い、
「週3日くらいでお願いします」
と言おうとすると、彼女が先に口を開き、
「では早速明日の朝から始めよう」
と言った。
毎朝稽古に時間を割いてくれるつもりらしかった。
そうして彼女はまた会議室へ戻り、私は靴を履き始めた。

そこへ先程の黒髪の女の子が勢いよく入って来て、上級職の彼女の名前を呼んだ。
「聞いてくださ~い!」
と、随分機嫌が良さそうに彼女は会議室へ向かおうとした。
私は先程会議室で、遊び場のような態度で仲間に接し、注意されたことを思い出して、
「あ、今はやめた方がいいよ…」
と声をかけたが、まだ会議室の入り口は閉められておらず、名前を呼ばれた彼女が、
「どうした?」
と、こちらへ目を向けた。
黒髪の彼女は嬉しそうに持っていた紙を見せ、
「コレもらえたんです~!」
と言った。
それには彼女の自宅の電話番号が書かれていた。
それは彼女の親が、この組織の管理する住宅で生活することを許可したという証明で、それがなければ組織の本拠地内にある住宅には入れないことになっていた。
この組織でやっていこうと思う者は、遅かれ早かれその住宅へ住むのが当たり前であった。
それを見た上級職の彼女は、彼氏の方を向いて、
「お前はどうするつもりだ」
と尋ねた。
彼氏は、家族の賛成がなかなか得られずに、入りたくても入れないという境遇だった。
しかしいつまでも外で暮らしているわけにはいかないことも、誰もがわかっていた。
彼は若干眉を寄せ苦しそうに、
「親のことは必ずなんとかします」
と答えると、私の方を見て、
「ゆきも早めに許可だけはもらっておけ」
と言った。
私の方は、彼ほど反対を受けていないので、彼よりは早くその許可がもらえるという自信はあった。
彼の方の許可が下りたら、すぐに二人一緒に組織の中へ入れるようにという意味だった。
私は、
「うん」
と、うなづいた。
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