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夢をメモするからユメモ。秩序も筋道もないユメモ。
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ゆき
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女性
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夢をメモする習慣があると脳が活性化するというのは本当だろうか。

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私はサッカーチームに所属していた。
チームに、身体が思うように動かない、頭痛がするという症状を訴えたメンバーがいた。
症状は危険と判断され、練習が中断された。
症状を訴えたメンバーは、隔離され、安静にしているらしい。
他のメンバーを一堂に集め、キャプテンが、
「何故彼だけがこのようになったのだろう。とにかく原因や対処法が全くわからない」
というようなことを話していた。
原因不明の奇病として扱われているようである。
実は私も黙ってはいたが、同じ症状であった。
自分も同じ症状だから分かるのだが、これはそんなに大騒ぎするようなものではない、と感じていた。
筋肉痛のように、放っておけばすぐ直るという類のものだ。
原因は大方疲労といったところであろう。
口が思うように動かず、喋ることができなかったので、それを伝えられなくて困った。
「彼だけじゃない!自分もだ!!」
と、心の中で訴えるしかなく、キャプテンはもちろんそれに気づいてくれるはずもなく、歯がゆい思いをしていた。
その時、先輩メンバーの一人が口を開き、症状がでているのは彼だけではないというようなことを言った。私は、
「先輩!そう!そうなんだよ、大騒ぎするようなものじゃないんだよ!!」
と、また心の中で言った。
そして先輩は、自分もそうである、と告げた。

「奇病」の犠牲者が二人も出たということで、チームはミーティングハウスに向かうことになった。
ミーティングハウスは、私の自宅だった。
自宅へは、先輩と、姉と私の三人で向かった。
姉がたずなを握る、小さな荷馬車で向かった。
私は御者席の姉の隣に座り、先輩は後ろの荷車の方へ乗った。
家に向かいながら、
「こうして馬車に乗るなんて久しぶりだわ。小さい頃は、よくゆきも乗っていたんですよ」
と、姉が後部の先輩に、話すともなく話していた。
先輩は、いかにも「自分はかわいそうな病人です」といった態度をとっていたが、姉の話には元気そうに相槌を打っていた。
先輩は女性好きで自分がかわいくて、我が道を行くという性格であった。
「コレが大したことのないものだって先輩もわかっているはずなのに、大袈裟に病人ぶるなぁ」
と、私は苦笑する思いであった。
先輩は、「病気でかわいそうな自分」を演出しており、それによって周囲からチヤホヤされたいと考えているようであった。
しかし私は、基本的には明るく面倒見のよいこの先輩が嫌いではなく、仲良くしていた。
先輩の病人ぶって気をひこうという子供じみたその行動は、苦笑する程度にとどまるもので、決して嫌な気分になるようなものではなく、むしろかわいいような気さえしていた。
彼の人柄のなせる業であろう。

自宅に着くと、もうみんな集まっていた。
茶の間へ顔を出すと、みんな我が家のようにくつろいでいた。
誰ともなく、
「お前もさっさと検査してもらって来いよ」
と声がしたので、返事をして隣の部屋の顧問医師のところへ向かった。
「隙間は気をつけろよ!」
という声が茶の間からして、首を傾げつつ廊下に出た。
先輩は、先にもう医師のところへ行っていた。
廊下では、何人かのメンバーが足でボールを操っていた。
医師の行うテストの一つなのであろう。
しかし人が一人か二人通れる程度の狭い廊下では、広い屋外のように身体を動かすことができず、みんな苦戦していた。

顧問医師の部屋へ入ると、先輩もすでに隔離されていた。
医師は難しい顔をして、
「全くわからん…」
というようなことを誰にともなく話していた。
だからそんなに深刻なもんじゃないって…と、内心思いつつ、先輩の様子を見ることにした。
隔離と言っても、無菌室や特別な部屋に入れられているわけではなく、医師のいる部屋の押し入れで休んでいる様子であった。
先輩は眠っているだろうか、と思いながら、押し入れの引き戸がわずかに開いてできた隙間へ、様子を探るように手をかけた。
そっと引き戸を開けようとすると、勢い良く戸が閉まり、私は中指を挟んでしまった。
強い痛みを感じながらびっくりしていると、さっと押し入れの戸が開けられ、中で先輩が楽しそうに笑っていた。
わざと戸の隙間を作っておき、人が手をかけたら思いきり挟むという悪戯である。
茶の間で「隙間に気をつけろ」と言われた意味がわかった。
「いったーい…何するんですか、もう!」
と、私が顔をしかめながら怒ってみせると、先輩はさらに満足そうに笑った。
この時には私は、喋ることができるようになっていた。
先輩のいた押し入れは上の段に布団が敷いてあり、簡易ベッドのような使われ方をしていた。
「私も入ってみた~い♪」
と、布団の上に両手を伸ばすと、
「ここは俺の場所だからダメー」
と、先輩は意地悪に笑った。
私は先輩との、こういったじゃれあいが好きで、先輩が構ってくれるのが嬉しかった。

そうしてふざけあっていると、先輩がふいに「ベッド」から下りて、押し入れの外へ出た。
押し入れの外はもちろん顧問医師の使っている部屋で、そこには一番初めに「症状」を訴えたメンバーがいた。
男性のはずだったそのメンバーは、この時には可愛い女性になっていた。
先輩は、そのメンバーの肩を抱くと、
「俺たち二人だけが原因不明のこんなんになって…俺こういうの運命感じちゃうんだけど」
と言った。
私は、どうせ大したことないくせに、と思った。
先輩だって自分の身体なのだから、わかっているはずである。
わかっているからこそ、悲観もしないし悪戯をしかける余裕もあるし笑うこともできるのである。
それに二人だけじゃない、私だってそうだ、と思った。
先輩は「奇病」を利用して彼女に接近していた。
肩を抱かれた彼女は、どうしていいのかわからないという風に、うつむいていた。
このメンバーは、自分が本当に未知の難病にかかってしまったと思い込んでいるようで、沈んだ様子である。

私は嫉妬した。
先輩の言葉は本気ではなく、いつものように少しふざけているだけだとわかっていた。
先輩は、女性であれば誰彼構わず、こういう冗談を言う人なのである。
それでも、私は仲の良い先輩をとられたようで、嫉妬してしまっていた。
うつむいているそのメンバーを憎む気持ちもなかったし、先輩を非難するような気持ちもなかった。
ただ、先輩は面倒見が良く人懐っこく、それは誰に対してでもそうであって、自分だけが特別なのではないと思い知った。
私は先輩の性格を知っていたはずなのに、無意識のうちに自分は先輩と特別仲の良い存在なのだと、思い込んでしまっていたのである。
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