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夢をメモするからユメモ。秩序も筋道もないユメモ。
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ゆき
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女性
自己紹介:
夢をメモする習慣があると脳が活性化するというのは本当だろうか。

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彼氏と高速でタクシーに乗っていた。
目的地は、私が以前、少しの期間過ごした所。
栃木県の何処か。
場所はうろ覚えだった。

彼氏が、
「もうタクシー降りて探してみない?」
と言ったが、まだ栃木県にすら入っていない。
「せめて栃木県に入ってからにしようよ」
と、私は彼氏を止めた。
彼氏は、
「あっ、そうか」
と言ったが、落ち着かない様子だった。
気が焦っているように見えた。

やがてタクシーは私の地元の寂れた商店街を抜け、やはり寂れた何処かの商店街で私達を降ろした。
私は、多少見覚えのあるその商店街を、彼氏と早足で歩いた。
日が暮れかかっていた。

そして、彼氏が昔に彼女と同棲していた家へ着いた。
久しぶりに主が足を踏み入れたその家は、3人の女子中学生が溜り場にしていた。
「不法侵入だよね。警察かな、110番110番…」
と、私は中学生達に聞こえるように言った。
しかしきちんと反省の色を見せれば、通報などしないつもりだった。

本気にして慌てた中学生のうちの一人が、奥へ走って行き、戻ってくると、
「これが領収書です」
と、焦った様子で細長い感熱紙を見せてきた。
水道光熱費の領収書で、金額は9千円弱だったように思う。
日付を見ると、8月31日~9月5日分、とある。
つまり彼女達は、31日からこの家に溜っており、そして毎日の水道光熱費はきちんと支払っているということだった。
私は中学生を少しからかって、脅すように、
「確かに31日からは払っているのがわかるけど、31日より前にはここに『いなかった』という証拠がないよね?それはどう証明するの?」
と尋ねた。
中学生にそれを証明する手段は当然なく、彼女は困ったように縮こまるだけであった。

しばらくは私の「遊び」を見ていた彼氏が、
「別にいいよ」
と、私を止める言葉を発した。
彼氏は、もう随分使っていない家のあちらこちらを軽く点検すると、いくつかのコッペパンを出した。
「いつでも来て食べていいよ」
と中学生が言われたそのパンは、給食で出た記憶のある懐かしいものだった。
私がはしゃぐと、
「学校で余ったのらしい」
と、彼氏が言った。
この頃、中学生達は帰って行った。

彼氏が以前この家で同棲していた元彼女は教師で、給食で余ったパンを置いていっているらしかった。
私は、これから二人で住もうという家に、昔の彼女のニオイが強く残っていることに不満を感じたが、彼氏は特に気にしてはいない様子だった。
彼氏にとって彼女は「特別」であり、別れた後も彼の中では彼女が「一番」なのだと私は知っていた。

「あっ、そうだ、閉まらないうちに本屋行って来よう」
と彼氏が言った。しかし私は、
「本屋なら今日月曜だから定休日で閉まってたよ」
と言った。
実際に、商店街を歩きながら私は、書店の明かりが消え、人気もないのを見ていた。
「えー本屋一軒しかないのに!」
と彼氏は当てが外れたというように騒いでいたが、私は、明日買いに行けば良いと、その件に関してはさして相手にはしなかった。

私は、元彼女の手から渡ったコッペパンを、どうしようかと少し迷ったが、給食を思い出す懐かしさに負けて、一つ口にした。
私が給食に食べていた頃とは違い、今のコッペパンには色々な味のクリームが挟んであった。
私が食べながらパッケージを見たパンは、確かピーナツクリームだったと思う。
私が半分ほどかじったパンは、チーズブッセクリームだった。
ブッセのチーズ味に挟んである、あのクリームである。
私は正直ブッセは好きではないが、色々な味のある今のパンが珍しく、クリームに関しての不満はほとんどなかった。

ただ、彼氏が私に愛情を示しながら、しかし心の底では元彼女のことを忘れられないのが、嫌な気分だった。
自分は彼女には絶対に敵わないことはわかっていたし、彼の「一番」には永遠になれないこともわかっていた。
割り切って諦めていながらも、パンをかじる私の心には影が差した。
私は憂さ晴らしをするように、
「30過ぎて結婚の話も彼女もいない男はやばいんだって~」
と言った。
彼氏には一応私という彼女がいるが、それでも、彼氏のことを皮肉った。
夢の中の彼氏は、30を過ぎている。
彼は、
「何で」
と苦笑した。
「そう言ってた人がいたの」
と、私は記憶を引き出しながら答えた。
正確には、「やばい」ではなく、「ろくな男じゃない」と言われたのだが。

私は「一番」になりたくて、しかしなれなくて、昔の彼女には敵わなくて、彼は彼女を忘れる気もなければ、忘れることもできなくて、私は何処にもぶつけられない不満を、心の奥に蓋をしてしまい込んでいた。
どうしようもない不満が、こうして時折顔を出しても、その不満を感じる以上に、彼の傍にいたい気持ちが強く、私は本当に割り切って諦めるより他なかった。
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