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夢をメモするからユメモ。秩序も筋道もないユメモ。
プロフィール
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ゆき
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女性
自己紹介:
夢をメモする習慣があると脳が活性化するというのは本当だろうか。

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ある友人が声をかけてくれ、数人の友人と集まって遊ぶことになった。
私の体調を気づかってか、室内遊戯にしてくれた。
私は気に入った曲を集めたカセットテープを、プレイヤーにセットした。
すると、1曲目が流れ出した途端、友人の一人が口ずさみ始めた。
「この曲知ってるの!?」
と、私が言うと、
「そりゃあ知ってるよ」
と、彼女は答えた。
マイナーな曲と思っていたので驚いた。

私達は、主にお喋りをしたりトランプをしたりして遊んだ。
友人の一人が、何枚かのカードを見せて、
「このカードが出たら集めてるんだ。1000枚貯まったら幸せになれるの」
と言うので、彼女がそれまでに集めてきたらしいカードを、
「じゃあ混ざらないように別にしておこう」
と、紙袋に入れた。

解散の頃になって、皆で車に乗っていると、
「何か忘れてきた気がする~」
と、誰ともなしに言い始めた。
そして、それを探すために、私と、もう一人の友人で戻ることにした。
他の友人は、その後予定があり、時間がないようだったからである。

友人に車を運転してもらい、先程の部屋へ戻った。
カラオケルームのようなそこは、既に他の人が入っていた。
どうしようか、と顔を見合わせたが、
「一応聞いてみようか」
と私が言い、中の人に事情を説明して探させてもらった。

人が座る椅子の下などを探し、私は紙袋を見つけた。
友人の集めていたカードが入っていた。
4、白紙(予備のカード)などが何枚かあった。
友人に見つかった旨を告げ、私達はまた車に乗った。

車の速度を上げていた友人が、
「ち、警察だ」
と、踏み切り近くでスピードを落とした。
踏み切りにはパトカーの一種と思われる車が止まっていた。
しかし近づいてみると、前にランプをつけた普通車、その後ろに軽トラのような車が並んでいるだけであり、その2台が重なって、あたかも警察の車に見えただけだった。

それから母と待ち合わせをしていた場所まで送ってもらい、母に少し挨拶をして彼女は帰ることになった。
紙袋は後日、彼女が持ち主に届けてくれることになった。
友人は、母と大変フレンドリーに話し、帰り際には手を振っていた。
私も手を振ろうと顔を出したが、ほんのわずかな差で、友人は歩き始めてしまった。
彼女は私にも手を振っていたらしいが、私が顔を出さなかったので、
「もう、あのコは仕方ないなあ」
と呆れたように独り言を言って去った。

私も、間に合わなかったものは仕方ないと、母と連れ立って待ち合わせ場所だった店の中へ入った。
そこでは、何かの展示会が行われており、母は黒い布がかけられた壁に飾られている絵などを眺めていた。
私は疲れていたので、早く買い物を済ませたいと思ったが、母が展示物を見ているので、仕方がないと、休憩できそうな場所を探した。
椅子の置いてあるそこでは、青水晶と、赤っぽい名前の覚えられない天然石のビデオが流れていた。
そして近くには、アイスの自販機があり、それは石を元にして作られた十数種類のアイスが販売されていた。
私は喉が渇いていたので、シャーベットが食べたいと思ったが、青水晶の方に自販機はなく、赤の天然石のアイスだけのようだった。
まぁ赤の石でもいいか、と思いながら、神秘的な雰囲気作りのための、あまり明るくない照明の下で、私はシャーベットを選んだ。
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付き合っている人がいた。
彼が、家に泊まりにきた。
夜になると彼は家を出た。
帰りが遅いので、心配して迎えに行った。
やっと見つけて二人で帰った。
0時近くになっていた。
帰宅すると、父に叱られた。
「こんな時間に一人でゆきを外にいさせて、もしものことがあってからじゃ遅いんだ」
かなり怒っていて、彼は正座をして小さくなっていた。

別の日に、デートをすることになった。
恐竜博を見に行く予定だった。
場所は東京だ。
しかし待ち合わせの時間になっても、彼は来ない。
彼のいる建物まで迎えに行くことにした。
確か7階だったと思いながら、エレベーターに乗った。
広めのエレベーターには、何人かの人がいた。
中の一人から注意されて、私は慌てて7階のボタンを押した。
ボタンを押さないと扉も閉まらないし、動かないのだと思った。
しかし、エレベーターが動き出したら、もっと怒られた。
このエレベーターは古く、きちんと機能していないのだということだった。
エレベーターは何かの観測のために使われており、小さなレーダーがついていた。
それを二人くらいの人が見て、
「また活動が始まったな」
とか言うのが聞こえた。
文句を言われながら、何とか無事に7階についたので、謝って降りた。

彼の部屋まで行ったが、彼には会えなかった。
仕方なくまたエレベーターに乗った。
今度は誰もいなかったが、エレベーターが古いのだということを思い出して、怖くなった。
しゃがみ込んでビクビクしていると、無事に1階についた。

それから彼の友達に会った。
彼と約束をしているのに、会えないのだと言うと、
「アイツ他の女といるよ」
と言われた。
私は、信じようとしなかった。
「じゃあ勝手にすれば。このまま付き合って後で泣いても知らない」
と、呆れたような、諦めたような感じで言われたので、私はそれが本当のことなのだとわかった。
私の家に泊まったあの夜も、その女と会うために外へ出ていたのだ。
「やだあ…」
と言って、泣きそうになっていると、
「もう帰れ」
と、友人が言った。
「でも恐竜博が…」
と、私は言った。
彼と行くはずだった恐竜博に、せめて最後に行きたかった。
しかしいくら待っても彼は来ないと知っている友人が、
「しょうがねえなぁ、じゃあ俺が一緒に行ってやるよ」
と言った。
新幹線の時間が迫っていたので、急いで行った。

恐竜博は、終わり間近になっていたが、滑り込んだ。
受付でチケットを出そうとしたが、焦るあまり見つからない。
見かねた友人が、
「もう新しいチケット買えっ」
と言ったので、そうすることにした。
しかし今度は財布からお金を出すのに手間取った。
友人が、
「もういい、しまえ」
と言って、私の分のお金も出してくれた。
お礼を言って、恐竜博の会場へ入った。
後で忘れずにお金を返さなくては、と思った。
時間がないので、順路を歩いただけ、といった感じで、ほとんど見られなかった。
場内は暗く、展示物が何も見えない。
多分近づけば見える仕組みなのだと思ったが、時間がなかった。
何か青い光だけを見て、黒い会場を後にした。
正直恐竜は重要ではなく、例え一人でも、彼と約束した場所へ行くことに意味があったので、私はそれで充分だった。
それを最後の思い出にして、彼と別れようと思った。

駅へ向かうための横断歩道で信号待ちをしていると、そこへ設置された大きな時計が16時57分を指した。
新幹線の発車時刻だ。
「あ、もう間に合わない」
と私が言うと、
「わからないよ」
と友人が言った。
気持ちは嬉しいが、間に合わないものは間に合わない。
私は諦めて、
「次のにしよう。確か5時半くらいのあったよね?」
と言った。
友人も地元が同じなので、帰宅の方向は一緒だ。
友人は少し古い時刻表を取り出して、調べた。
しかし16時57分の新幹線すら載っていない。
私は、
「じゃーん。最新時刻表」
と言って、最近駅でもらったばかりの時刻表を出した。

そして17時半の新幹線に乗ることにして、信号の変わった横断歩道を、少しゆっくりと歩き出した。
友人の手が、私の手に触れたので、私は慌てて引っ込めた。
「ケジメはケジメだもんな」
と、友人は苦笑した。
一応まだ、私は彼と付き合っていることになっているのだ。
二股をかけられてはいるが。

横断歩道の真ん中くらいで、建物の窓から子供が顔を出して私を呼んだ。
「お姉ちゃん、悪い奴やっつけるんでしょ?」
それはあのエレベーターのあった建物で、子供は私が最初に乗った時、エレベーターの中にいたうちの一人のようだった。
悪い奴、という言葉に苦笑しながら、
「うん、そうだよ」
と答えた。
悪い奴、というのは二股をかけた彼のことだ。

しかし内心、少し自信がないという気持ちもあった。
彼に泣きつかれたら、許してしまうかもしれない。
泣いてみせるのは私の決意を揺るがすためで、彼が二股をやめる気がないのはわかっているのに。
それはその時考えることにして、ほんの少しの時間を潰すために友人と駅構内をぶらついた。
時々、私も彼といた時の癖で、隣を歩く友人の手を握ろうとしてしまう。
そして慌てて引っ込める、ということがお互い何度かあった。
あと20分ほど、という頃、私は喫茶店のようなケーキ屋のような店を見つけ、
「ケーキ食べる?」
と友人に尋ねた。
友人は笑って、
「俺はいいよ」
と言った。
私なら20分しかないのに喫茶店に入ろうとは思わない。
しかし彼なら入ろうとするだろうと思って、私は友人を誘った。
ケーキは、よく彼と一緒に食べていた。
特別食べたいわけでもなかったが、時間が潰せると思っただけだった。
彼とよく、そうしていたからだ。
浜崎あ○みがお金に困って彼氏に頼ってきた。
知り合いなのだ。
最近収入は少ないのに、だだっ広い家だけはあって、維持が大変らしく、引っ越すことになったという。
アユの所属事務所は、別の急成長した大手に、吸収されようとしているとのことだった。
彼氏が新聞の切り抜きを見せてくれて、社長と思われる人が、
「今後は吸収合併を視野に入れていきたいと思う」
とコメントし、対してアユの事務所は、
「そのような予定はない」
とコメントしていた。
しかし記事の様子から、吸収されるのも時間の問題だと思った。

「部屋ってどのくらいの広さなの?」
と、彼氏に尋ねたら、
「知らねえ」
と返ってきた。
「貯金ないのかな?」
と言ったら、
「ほとんどないらしいよ」
と、呆れたように言った。
「大体アイツはバカなんだよ。コンサートの途中で変装して客席に下りてきて『来ちゃった』とか言ってんの」
帽子を被ってサングラスをかけたアユが浮かんだ。
周りのお客さんが驚いて騒ぐ様子も浮かんだ。
「俺が最前列で見てたからさあ…」
と、彼氏は言った。
バカだ、と私も思った。
ちなみに彼氏はファンだから最前列にいたのではなく、知り合いだからコンサートへ足を運んだだけだ。

「お金どのくらいいるの?」
と尋ねると、敷金と礼金がどうの、という話をされた。
額は、私が手伝えないほどではなかった。
「貯金はいくらなの?」
とまた尋ねると、
「200万くらいしかないって言ってた」
その200万で払えよ、と思った。
大体収入が減ったなら、生活水準を落としてそれなりにするのが普通だ。
なのにアユは、200万しか貯金がなくなるまで、贅沢を続けたのだ。
バカだ。
それでも彼氏が困っているので、私は、
「お金一緒に出してあげる」
と言った。
彼氏は申し訳なさそうだった。
しかしもう手元には、お金の引き落としの用紙を持っていて、
「ここに判子押してもらうから」
と言った。
いくつか欄があり、そこへ私たちは記入しなければならないようだった。
用紙にはアユの証明写真が貼ってあった。

アユの家はどのようなのかと、妹と一緒に見てみた。
無駄に広かった。
一人でこんな広さを何に使うのだろう、と思った。
庭も広いが、手入れをされている様子はない。
茶色い土の部分が多い印象を受けた。他には雑草などが少し生えていた。
庭には、柴らしい犬が2匹いた。
しかしあまり明るい顔をしておらず、柴らしいキリっとした表情もしていなかった。
放し飼いにされて、ほとんど世話されていないのだろうと思った。
犬には満足なハウスもなく、ハウスの代わりになっているのは、机の引き出しだった。
ただの箱のようなそれに、犬は慣れた様子で入っていた。
しかし私には、入りにくそうに見えた。
そんな入りにくい箱に慣れてしまっている犬が、可哀想だった。
「可哀想だね」
と私が言うと、妹も同じように感じたのか、あまり良くない表情をして、黙っていた。

本当にバカだと思った。
人に頼るほどお金に困る前に、さっさとこの無駄に広い家を手放せばよかったのである。
それをきっと、売れてかなり収入があった時の感覚のまま過ごし続け、いつかまたそういう波が来るはずだと、自分を過信し、根拠もなく思い込んでいたのだ。
犬たちも、気まぐれに買って、そのまま放っているのだろう。
エサも満足に与えているかどうかわからない。
犬たちは、痩せているように見えた。
バカという言葉では表しきれないバカだと思った。
一度売れた芸能人は常識をなくすのだと思った。
私は彼女を軽蔑した。
不思議な力のあるらしい老人に連れられていた。
力のある人のようだった。
精霊たちの住む部屋へ、特別に入れてもらえた。

円形の部屋の上の方に造られた半円か扇型の床に、精霊たちがそれぞれ眠っていた。
そこは2階というか、階段で下とつながる造りになっていた。
上からは、階段の下の床も見える。
私達が部屋に入ることで、何人かは目を覚まし、簡単な挨拶をしたり、声をかけてきたりした。
精霊たちのベッドは円形の箱のようだった。
それぞれの違う色をしていた。
宝石やレースや、絹のようなものに囲まれて、精霊たちは居た。
部屋全体にも、豪華で美しい装飾がしてあった。

私はある少年ほどの身体つきをした精霊のことが気になって、覗いた。
身体を丸めて眠っていた。
「時の坊やは相変わらずですわ」
と、女の精霊が老人に向かって苦笑した。
少年は時の精霊で、ほとんど目を覚まさないらしい。

しかし私が覗いていると、目覚めないはずの時の精霊が、目を覚ました。
彼は眠たいというか、面倒くさそうに起き上がった。
老人が、
「おお」
と、小さく感嘆の声をあげた。
時の少年は私を見て、
「面白いもの見よう」
と、階段を下りた。

私はついていった。
私は彼を根拠もなく信用していたし、彼もまた私に心を開いているように感じた。
老人や他の精霊の様子から、それは特別なことなのだとわかった。

時の少年の見せてくれたものは、大きな時計だった。
直径1mほどの丸い時計が床に置かれて、動いていた。
精巧で細かい歯車のたくさん動くのや、高価そうな装飾を眺めた。
きっとこれは特別な時計なのだと感じた。
この時計の管理者が、この少年なのだろうと私は思った。
彼氏と外国へ来ていた。
食事のために、スシ屋に入った。回転寿司だった。
狭い店内の席は埋まっていて、私達は少し待つことにした。
すると近くの席がちょうど2つ空いたので、彼氏が、
「そこ座るぞ」
と、小さく指さして囁いた。
テーブルが片づけられるのを待って、座ろうとすると、別の男性がその席に座ろうとした。
あ、と思っていると、奥から、
「おい、そこは今その二人が座ろうとしていただろうが!」
と、少し大きな声がした。
それで男性は、私達に気づいた。
言葉がはっきりとわかったので、日本語だったのだと思う。
声の人物も男性も、その店の常連らしかった。
男性は、
「私は目が弱いので、よく見えない。気づかなくてすみませんでした」
という内容のことを言った。
そして席を譲ってくれたが、座って良いものかどうかと迷っていると、男性の後ろの席が空いた。
私は、
「あそこ、あそこ」
と指をさしたが、日本語がわからないらしく、通じない。
「後ろ、後ろ!」
と言ってみるが、困ったように笑うだけで後ろを見てくれない。
「Back,Back!」
と言ってみたら、ようやく気づいてくれて、私達はみんな座ることができた。

店はアットホームな感じで、客同士が仲良く話をしながら食事をしていた。
常連が多いようだった。
「日本人ならこれが好きだろう」
と、周りの人がメニューを勧めてくれた。
私はスシ屋で、醤油をかけたご飯を食べる羽目になったが、好意が嬉しかったし、おいしかったので不満はなかった。
彼氏はマイペースにスシを食べていたが。
食べながら、向かいの席にいる女性が、
「それにしても初めてなのによくこの輪に入れたわね」
と言った。
私は、
「楊海(ヤンハイ)さんが入れてくれたんです」
と言った。
ヤンハイという中国人の男性が、さりげなく輪に入れるようにと、気を配ってくれているのに気づいていた。
私が日本語で話しているのも、彼が大体の通訳をしてくれているのだと気づいていた。
私は彼らの言うことは大体わかるが、話すとなるとダメで、日本語を使っていた。
ヤンハイさんは、私の言葉に知らないふりをしていた。
私は、
「ヤンハイさん、あなた日本語ができるでしょう」
と、話しかけた。
ヤンハイさんは、じっとこちらを見て、諦めたように、
「何でわかったんだ」
と、流暢な日本語で言った。
私は彼が言語能力に長けていることを知っていた。私は彼を知っていた。

それからみんなでトランプをして遊んだ。
私はゲーム自体は知っていたが、ルールをよく覚えていなくて、
「えっとこれは1だから…出せる」
「あっ、これは17だから出せない」
などと、カードを出したり戻したりしていた。
ヤンハイさんが、
「おい、手持ちのカードを全部見せているじゃないか」
と私に言ったので、みんなが苦笑した。

トランプが終わって、人がまばらになってきた。
私はヤンハイさんと彼氏と3人で、店の隅の椅子に座って話していた。
「ヤンハイさんのことは、伊角くんから聞いていたんです」
と、私は言った。
「イスミ?ああ、イスミクンか」
と、彼は言って、
「それじゃあ君がユキか!日本にユキというやつがいると、イスミクンから聞いたことがある!」
と、嬉しそうに言った。
「そうです」
と、私は笑って肯定した。
(※楊海、伊角というのは漫画のキャラクターである)

その時、店の雰囲気にはふさわしくない様子で医師がズカズカと入って来て、女の子に向かって行った。
10歳くらいの女の子で、店の手伝いをしていた子供だった。
医師は、
「僕はあんなミスをするような人間を、弟子として置いておく気はない。この調子では君が外科医になれるとは思えない」
と、女の子を見下ろして威圧的に言った。
女の子はその外科医の手伝いをしながら勉強をしていたが、何か失敗をしてしまったらしかった。
外科医は胸にかわいい卵がプリントされていて、私は、多分彼はまだ研修医なのだと思った。
外来の患者にわかりやすく、そのプリントがしてあるのだと思った。
女の子は何も言えずにうつむいていた。
私は、自分だってまだ勉強中の研修医じゃないか、ミスのない人間なんているもんか、と思ったが、口は挟まなかった。
その研修医は、それだけ言うと、また戻って行った。
女の子は、店の隅の出入口から、外へ出て行った。
私は気になって、追い掛けて外へ出た。彼氏もついてきた。
女の子は雪の積もって凍っている駐車場に、座り込んでいた。
私は少し離れた場所に座り、確か彼女はNaoと呼ばれていたと思いながら、
「ナオ」
と、小さく呼びかけた。
ナオは黙ってうずくまっていた。
私は今度は少し声を大きくして、
「ナオ」
と、もう一度呼んだ。
ナオは無視をしていた。
彼氏が、
「Nao」
と呼ぶと、やっとこちらを向いた。
私は座ったまま、ナオに近寄った。
「外科医になりたいの?」
と尋ねた。
「あたしは彼女みたいに、コピー取りを仕事にする気はない」
と、ナオは目を合わせず言った。
「彼女」というのは、ナオの母親のことだ。
ナオの母親は、店の雑用をしているようだった。
ナオの服装から、あまり裕福な暮らしをしていないのがわかった。
ナオは貧しさに嫌気がさしていて、それで給与条件の良い仕事に就きたいと思っているようだった。
ナオは、わずかな賃金しか得られない雑用の仕事をしている母親を、冷めた目で見ているような気がした。
「コピー屋のどこが嫌なんだ」
と、彼氏がナオに尋ねた。
ナオは、それには答えず立ち上がった。
店に向かって歩き出したナオに、
「ナオは本当に外科医になりたいの?」
と、私は尋ねた。
「わからない、でも医者がいい」
というような答えが返ってきたと思う。
ナオは、金銭面で医者という職業に固執しているだけだと思った。
「医者以外のものに目を向けてみてもいいと思うよ」
と、私はナオの背中に向かって声をかけた。
子供らしくない、現実的な金銭を求めるための将来像を描くナオが、悲しかった。
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