夢をメモするからユメモ。秩序も筋道もないユメモ。
妹と一緒に、車の後部座席に乗っていた。
どこかへ遊びに行った帰りだったと思う。
車を運転しているのは、職場の男の人だった。
私はこの人が少し好きで、それなりに仲良くなってはいたが、恋愛対象としてはあまり相手にされなかった。
けれども、彼は思わせぶりともとれるような態度をとっていたので、シャイなだけで、少しは向こうも気があったのかもしれないと、自惚れてもいる。
彼は、
「この辺ってどこか休日行くとこないかなぁ」
と、運転しながら話しかけてきた。
言外に、
「今度一緒に遊びに行こうよ」
と言われたような気がした。
しかし私は彼氏ができたばかりだったので、それは無視した。
「温泉とかいっぱいありますよね。GWも終わったからそんなに混んでないと思うし」
と、私は答えた。
「温泉かぁ…確かに多いよね」
と、彼はあまり気乗りしない様子で言った。
「山も多いですから、登山でもしてみてはどうですか?」
と、私が言うと、
「何か登山好きな人やけに多いよね」
と、彼が答えた。
「そうですね、楽しい人は楽しいんでしょうね」
と、私は言った。
そういう話をしながら、自宅近くへ来たので、車を止めてもらった。
車から降りようとすると、職場の先輩というか、友達が見えた。
彼女は彼と仕事を共にすることもあり、彼と仲が良かった。
私が彼に好意を寄せていることを知っていて、よく長電話をしてくれた人だ。
しかし彼女も彼に好意を持っていたように思う。
お互い彼が好きと言えないまま、たくさん彼の話をした。
私は彼の車に乗っていたことを、彼女に気づかれたくないと思った。
彼女はひやかすだろうし、そうしながら、私に彼を取られるような気持ちになるのではないかと思ったからだ。
私より彼女の方が、ずっと彼との付き合いは長い。
車を止めたのが、少し傾斜のある道だったこともあり、私は車を降りた途端、バランスを崩して転んでしまった。
慌てて起き上がって、車の開いたドアのところへ戻った。
そして妹が降りるのを待ち、
「ありがとうございました」
と、運転席に声をかけた。
車が去ってから、先輩の方を見ると、先輩もこちらを見ていた。
気づかれた。
転んだときに、声を出したからだろう。
先輩は、
「ゆきちゃん」
と、笑いながら道路を横断してこちらへ来た。
「なぁに、彼と一緒だったの~?」
案の定ひやかされた。
それから3人で歩きながらお喋りをした。
先輩の家のすぐ近くまで来ると、急に先輩が苦しげに下腹部を押さえ、しゃがみこんだ。
私は慌てたが、
「大丈夫…」
と、先輩は顔をしかめながら言った。
大丈夫でなくても大丈夫と言う人なのだ。
道端に3人しゃがみこんで、先輩が妊娠していることを知った。
先輩は、昔に婚約者を癌で亡くしており、以来恋人を作ろうとはしなかった。
いよいよ末期という時に、せめて婚姻届だけでも、と思ったが両親が許さなかったという。
それからは、亡くなった彼がいつまでも彼女の一番であり、他の人と付き合う気はないと言っていた。
一生結婚もしないだろう、と言っていた。
私が好意を寄せた彼に、確かに先輩も好意を寄せているように見えたが、それもどれほどだったのか、私にはわからなかった。
昔の婚約者を超える程ではないような気もしたし、もしかしたら二人は付き合うかもしれないという気もした。
だから、先輩に妊娠するようなほどの相手ができていたことに、私は驚いた。
妊娠している人が下腹部を押さえて苦しむというのは、素人ながら危険だとわかったので、とにかく何とかしなくては、と思った。
とりあえず横にしたいが、先輩は動ける状態ではない。
家はもうすぐそこだというのに。
冷える屋外に居ることも、よくないと思った。
私は、
「先生、家の鍵を貸してください。私が先生の家へ行って、部屋を暖めてきますから(私は彼女のことを「先生」と呼ぶ)」
部屋を暖めてくる間に、何とか動けるようになるかもしれないと思った。
しかし先輩は首を振った。
「大丈夫」
と言い張る。
そこへ車が通りかかり、私たちを乗せてくれた。
職場の人だった。
私たち3人は、後部座席に乗り込んだ。
先輩を真ん中にして、右に私、左に妹が座った。
先輩の具合は、良くなったようだった。
助手席の男性が、後ろへ顔を向けて話しかけてきた。
「いつもどこで遊んでます?楽しいとこってあります?」
私は、
「美術館!」
と、答えた。
先輩が、
「美術館ってそんなに何度も行って楽しいの?」
と、少し笑いながら言った。
私は、
「んっとねー、トリックアートの美術館が好きなんです」
と答えた。
「トリックアート?」
と先輩に尋ねられ、前の席の人もわからないようだったので、車内の人みんなに聞こえるように説明した。
「いつも誰と行くの?」
と聞かれたので、妹の方を目で指した。
妹は、ニコニコしながら、「私、私!」
というように自分を指差していた。
前の車では黙って大人しかった妹だが、今度は女性が一緒ということで、緊張は少ないようだった。
私は、妹が自分を指す様子を少し真似て、両手の人指し指で自分の頬を指し、
「ねー」
と、妹に少し首を傾げてにっこりした。
どこかへ遊びに行った帰りだったと思う。
車を運転しているのは、職場の男の人だった。
私はこの人が少し好きで、それなりに仲良くなってはいたが、恋愛対象としてはあまり相手にされなかった。
けれども、彼は思わせぶりともとれるような態度をとっていたので、シャイなだけで、少しは向こうも気があったのかもしれないと、自惚れてもいる。
彼は、
「この辺ってどこか休日行くとこないかなぁ」
と、運転しながら話しかけてきた。
言外に、
「今度一緒に遊びに行こうよ」
と言われたような気がした。
しかし私は彼氏ができたばかりだったので、それは無視した。
「温泉とかいっぱいありますよね。GWも終わったからそんなに混んでないと思うし」
と、私は答えた。
「温泉かぁ…確かに多いよね」
と、彼はあまり気乗りしない様子で言った。
「山も多いですから、登山でもしてみてはどうですか?」
と、私が言うと、
「何か登山好きな人やけに多いよね」
と、彼が答えた。
「そうですね、楽しい人は楽しいんでしょうね」
と、私は言った。
そういう話をしながら、自宅近くへ来たので、車を止めてもらった。
車から降りようとすると、職場の先輩というか、友達が見えた。
彼女は彼と仕事を共にすることもあり、彼と仲が良かった。
私が彼に好意を寄せていることを知っていて、よく長電話をしてくれた人だ。
しかし彼女も彼に好意を持っていたように思う。
お互い彼が好きと言えないまま、たくさん彼の話をした。
私は彼の車に乗っていたことを、彼女に気づかれたくないと思った。
彼女はひやかすだろうし、そうしながら、私に彼を取られるような気持ちになるのではないかと思ったからだ。
私より彼女の方が、ずっと彼との付き合いは長い。
車を止めたのが、少し傾斜のある道だったこともあり、私は車を降りた途端、バランスを崩して転んでしまった。
慌てて起き上がって、車の開いたドアのところへ戻った。
そして妹が降りるのを待ち、
「ありがとうございました」
と、運転席に声をかけた。
車が去ってから、先輩の方を見ると、先輩もこちらを見ていた。
気づかれた。
転んだときに、声を出したからだろう。
先輩は、
「ゆきちゃん」
と、笑いながら道路を横断してこちらへ来た。
「なぁに、彼と一緒だったの~?」
案の定ひやかされた。
それから3人で歩きながらお喋りをした。
先輩の家のすぐ近くまで来ると、急に先輩が苦しげに下腹部を押さえ、しゃがみこんだ。
私は慌てたが、
「大丈夫…」
と、先輩は顔をしかめながら言った。
大丈夫でなくても大丈夫と言う人なのだ。
道端に3人しゃがみこんで、先輩が妊娠していることを知った。
先輩は、昔に婚約者を癌で亡くしており、以来恋人を作ろうとはしなかった。
いよいよ末期という時に、せめて婚姻届だけでも、と思ったが両親が許さなかったという。
それからは、亡くなった彼がいつまでも彼女の一番であり、他の人と付き合う気はないと言っていた。
一生結婚もしないだろう、と言っていた。
私が好意を寄せた彼に、確かに先輩も好意を寄せているように見えたが、それもどれほどだったのか、私にはわからなかった。
昔の婚約者を超える程ではないような気もしたし、もしかしたら二人は付き合うかもしれないという気もした。
だから、先輩に妊娠するようなほどの相手ができていたことに、私は驚いた。
妊娠している人が下腹部を押さえて苦しむというのは、素人ながら危険だとわかったので、とにかく何とかしなくては、と思った。
とりあえず横にしたいが、先輩は動ける状態ではない。
家はもうすぐそこだというのに。
冷える屋外に居ることも、よくないと思った。
私は、
「先生、家の鍵を貸してください。私が先生の家へ行って、部屋を暖めてきますから(私は彼女のことを「先生」と呼ぶ)」
部屋を暖めてくる間に、何とか動けるようになるかもしれないと思った。
しかし先輩は首を振った。
「大丈夫」
と言い張る。
そこへ車が通りかかり、私たちを乗せてくれた。
職場の人だった。
私たち3人は、後部座席に乗り込んだ。
先輩を真ん中にして、右に私、左に妹が座った。
先輩の具合は、良くなったようだった。
助手席の男性が、後ろへ顔を向けて話しかけてきた。
「いつもどこで遊んでます?楽しいとこってあります?」
私は、
「美術館!」
と、答えた。
先輩が、
「美術館ってそんなに何度も行って楽しいの?」
と、少し笑いながら言った。
私は、
「んっとねー、トリックアートの美術館が好きなんです」
と答えた。
「トリックアート?」
と先輩に尋ねられ、前の席の人もわからないようだったので、車内の人みんなに聞こえるように説明した。
「いつも誰と行くの?」
と聞かれたので、妹の方を目で指した。
妹は、ニコニコしながら、「私、私!」
というように自分を指差していた。
前の車では黙って大人しかった妹だが、今度は女性が一緒ということで、緊張は少ないようだった。
私は、妹が自分を指す様子を少し真似て、両手の人指し指で自分の頬を指し、
「ねー」
と、妹に少し首を傾げてにっこりした。
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